2016-03-21

西日本を横断する旅行をするのに、18きっぷを2枚購入した。その時の旅行記事を見てもらうとわかるが、実際に切符を使ったのは7日分で、実は3日分余りがある。もう一か所旅行をするのは金銭的に厳しいので(現時点でも既にマイナスである)、高校の友人を誘ってどこかへ出掛けることにした。2月末に、高校の同級生の中で唯一LINEを知っている2人に連絡をして、その話を持ち掛けると、すぐに賛成してくれた。行きたい場所、路線などを聞いてみたけれど、なかなか難しかったので、結局僕が勝手に決めてしまった。

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以前行った時に面白かった鋸山の石切り場を見学する。
それぞれの家に近い駅で合流・分岐できるような経路を選択した。

 

今回は同行者がいるので、普段とは違って全く外を見ることはしなかった。彼らは高校を卒業してからは、友人数人で原付旅行をしているらしく、その話を聞くのが面白かった。
浜金谷駅に着いた時には小雨が降っていたけれど、ロープウェイに乗って山頂まで登ると雨は止んでいて、しばらくすると良い天気になった。日本寺には止むを得ず入場したが、参拝はしないで石切り場を見に登山道へ行った。石切り場があるのはいずれも登山道の頂上付近なので、しっかりとした装備が無くても何とかなる。前回見た石切り場に加えて、前回は行かなかった方にも足を伸ばすことができたので、僕は満足だったし、2人も楽しんでくれたようだったので良かった。

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地獄のぞき。
この日は展望台が混雑していたが、あれは竹田城パターン*1に違いないと3人の間で見解が一致したので、ここから写真だけ撮って素通りした。

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ラピュタ壁。
2人の反応も良くて嬉しかった。僕は前回ほど感動はしなかった。

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登山道にある階段。
気味悪く撮れたと嬉しそうにしていたので載せておく。

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写真を撮る長身の彼を点景に添えた、岩壁の大きさが判るグッドな写真だ。
もう1人の友人の撮影。

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石を切るのに使っていたと思われる機械がそのままにしてある。
「経年が感じられて面白いね」との感想があった一方で、「ここに置いてあるのは何だかわざとらしい気もする」との感想もあった。
誰もカメラを構えていない内から彼がポーズを決めてじっとしていたので撮ってあげた。

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背景の不気味さと彼のふざけた笑顔が不釣り合いで面白い。
ちゃんとしたカメラで撮ってもらったのでピントの合い方が違う。

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苔を見るおさかな。
壁が規則的に波打っているのも面白い気がする。

2か所の石切り場を見て回ると思っていたよりアップダウンがあって、山道を歩くことを伝えていなかった彼らには悪いことをしたと少しだけ思った。

2時間ほど見学をしてからロープウェイで山麓へ降り、前回来た時には閉まっていた人気の食堂に行った。14時過ぎでも人が並んでいて、僕たちが並んでから10人ほどで品切れになった。

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アジフライ定食他。馬だ!
大盛りで注文したご飯が"ちゃんと大盛り"してた。

お腹を満たした後は久里浜までフェリーで渡った。友人の1人がしゃっくりをし始めたので笑っていたら、船から降りた後でもう1人に移ったので、さらにおかしくなった。僕はしゃっくりの真似をして、しゃっくりをする友人に合わせようと試みた。出るときは言ってと頼んでみたけれど、しゃっくりの出るタイミングなんて分からないと言われた。

久里浜に渡ってからはそのまま家に帰った。また集まろうと約束して、1人目を改札まで送った*2。もう1人は改札まで来たところで、自宅まで車で送ろうかと言ってくれた。鉄道だと直線距離からは遠回りだったのでとても助かった。

自分からお出掛けに人を誘ったのは本当に久しぶりだった。今年はこの調子で少しずつ人と交流できたら良いと思う。

*1:遠くから見る分には絵になるが、実際に足を踏み入れてしまうと良さが薄れるさま。

*2:18きっぷだから一緒に改札を出る必要がある

調査報告

ナポリタン調査(03/20)

昼型人間らしく、昼過ぎに目を覚まして階段を下りると、玄関に家族のものではない小さな靴があった。すぐに弟の恋人のものであると察しがついたので、そのまま部屋に戻ったものの、数時間もするとお腹が空いてきた。リビングでご飯を食べるのは嫌だから、駅の駐輪場に置きっぱなしになっている自転車を回収するついでに、約3週間ぶりのナポリタン調査をしようと決めた。
最寄り駅までは歩いて20分程度の距離で、考え事をしながら歩いているとあっという間に着いた。今回行くお店は、電車で行くと4駅(途中で乗り換えあり)、距離にして片道5km程の場所にある喫茶店だ。自転車道のある大きな道路もあるし、お金にも余裕はないので、自転車で行く。
ひたすら真っ直ぐに伸びる自転車道を走るのは、なかなか快適だった。駅の駐輪場に自転車を駐め、お店に入った。

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外からは中の様子が伺いづらい良い喫茶店だ。

僕以外にはお客さんはおらず、マスターはテレビの相撲中継をずっと見ていた。ソファの座り心地がとても良かった。

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久し振りのナポ。
ベーコンでなくてソーセージなのはポイント高い。

食後のコーヒーは香りがとても良くて、しばらく口を付けずに嗅いでいた。

 

紅茶調査(03/20)

この間、家にあったティーバッグの紅茶をいくつか飲んでみたら、良い香りに気分が落ち着き、紅茶に興味が湧いた。外でコーヒーを飲むほかに、家で紅茶を嗜むのも悪くないと思ったので、とりあえず通販で無難にアールグレイのティーバッグを購入した。全てポイントで払ったので、お金の心配はない。あるけれども。
コーヒーは前に粉末のものを使って淹れようとして*1、ほとんど麦茶のような超アメリカンコーヒーができて以来、外で飲むことに決めているので、家ではあまり飲まない。それに、ナポリタン調査をするようになってから、外出先の喫茶店でちょくちょくコーヒーを飲むようになっているので、中途半端に舌と鼻が肥えてしまっているのではないかという懸念もある。紅茶なら外で飲んだことはあまり無いし、市販のティーバッグでも結構楽しく飲めそうなので、家では紅茶を飲む。
amazonではないので注文してから2、3日ではまだ届かないが、届いたらまた記事を書くことにする。

*1:コーヒーメーカーを使うのはこの時が初めてだった

2016-03-19

知らない男と並んで、暗い階段を下りていく。男の輪郭の他には何も見えなかったので、建物の中にいるものだと思っていたのだが、下りたところは屋外の広場だった。コンクリートタイルの敷かれた広場の中央だけが、白い光で薄く照らされていて、周りには植木が並んでいる。
さらに階段を下りていくと、また同じような広場に出た。辺りは静まり返っており、僕たち2人の足音以外には何も聞こえない。一歩前へ踏み出すと、こちらを覗く霊の映像が脳裏をよぎり、その瞬間から強い緊張が生じた。同行していた男は僕の一歩先の位置を保ちながら、薄く照らされた広場の方へ、タイルの上を足音を響かせながら歩いて行った。
常に次の瞬間には恐ろしい体験をするような予感をしながら、後ろを歩いていると、彼の呼吸が荒くなってきた。相変わらず、辺りからは僕ら2人以外の気配は感じられないし、音も、僕ら2人の足音と呼吸音しか聞こえない。一向に何も起きない状況に恐怖し、堪らず彼は大声をあげて駆け出した。彼が前へ走ることによって、後ろから何かが追って来ているような錯覚を起こし、水を浴びたような気がして、僕も彼に続いて走り出した。
最初の広場を駆け抜けたところで右を向くと(右しか見えない)、そこにも似たようなコンクリートタイルの広場があった。彼は勢いそのままにその広場の方へ走っていく。こちらの広場は周囲が胸の高さほどの石垣で囲われており、やはり中央だけが白い光で薄く照らされている。僕たちは広場の奥に辿り着き、必死でその石垣をよじ登ろうとするが、手を掛けると途端に腕の力が抜け、なかなか登ることができない。そうしてもがいている間にも、段々と後ろから何かがせまってくるような気がして、足の力まで抜けてしまう。身体を大きく震わせながら、やっとのことで彼は石垣を登り切り、僕のことなど忘れたように、或いは最初から知らなかったのかもしれないが、暗闇の方へ駆けていった。僕はいつまでもその石垣を登り切れずにいた。

西日本横断9日目

旅行9日目という事ではあるが、することは飛行機に乗って家へ帰るだけである。駅近くのバスターミナルから、空港行のシャトルバスが出ていると前日に知ったので、ぎりぎりまでホテルで過ごしてから、10時過ぎにバスターミナルに向かった。切符を買って乗り場へ行くと、バスを待つ人が列を作って並んでいた。時間は早すぎる位なので、確実に座れるように次の便に乗ることにした。空港行のバスは15分置きに運行していたので、安心して見送ることができ、結局乗り込んだのは3本目のバスだった。

空港に到着したのは11時30分ごろで、出発の時間までまだ3時間あった。早すぎるかもしれないけれど、この日は雨が降っていて外にはいたくなかったので仕方がない。お店をひとつひとつ見て回り、気に入ったお土産を買った。残りの時間をどう過ごしたのか、もうほとんど覚えていないけれど、たぶんいつものように何もせずに過ごしていたと思う。

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さっきまで降っていた雨が上がり、良い天気になった。
ガラス張りだから広く外が見えて良い。

今回はJetstarを利用したのだけど、モバイルチェックインがとても便利で良かった。2時間後に成田に着いた時にはかなり寒く感じた。前日の鹿児島の日中の気温は20度近くまで上がっていて、半袖で歩く人もいたほどだったから無理はない。

 

まとめ

今回の旅行に限った事ではないけれど、僕が旅行を通じて思うことは、何も特別な場所へ行かなくたって、少し目を凝らして見れば、身の回りにでも面白いものはたくさんあるという事だ。旅行という非日常の体験からこのような事を思うのが、自分の中では面白いことのように思う。
去年の春休みに長野と青森へ旅行へ行ったあと、近所の桜や大学の木々など、今まで何とも思っていなかったようなものに心が惹かれるのを感じた。散歩をするようになったのもこの頃からで、旅行の前後で感性が変化したのだと思う。特別な体験も、若いうちに多くできたら良いと思うけれど、それと同じくらい、小さなことで感動できる感性を養うこともできたら良いと思う。


[ 追記 2016/03/19 22:09 ]

今回の旅行では、最初の4日間を人と過ごすという今までになかった試みを行ったのであるが、これを通じて、誰かとする旅行も結構楽しいのかもしれないと旅行中から考えるようになった。初めから特別なものを頑なに求めるよりも、ありふれたように見えるものの中に特別なものを見出す感性を養うことの大切さは、人間関係にも言えるかもしれないと記事を書きながら感じた。つまり、今まではあまり目を向けなかったような相手でも、よく目を凝らせば、きっとその人にしかない面白い部分があるはずだと。相手に興味を持つ為にはこういう心がけが必要なのだと、今回の旅行を終えて感じたのだった。

ということを書きたかったのだけれど、すっかり忘れていたので追記した。

西日本横断8日目

くまモンスクエアに行けなかったのが少々心残りではあるが、この日も朝早くから電車に乗った。八代までは霧がかかっていてまともに外が見えなかったものの、暗くて何も見えないのとは違って、霧で見えなくなっているということが見えるので、霧は好きである。
八代から肥薩線に乗り換えたが、その車両がいさぶろう・しんぺいで驚いた。人吉―吉松駅間で観光列車として運行しているのは事前に知っていたけれど、八代―人吉間を普通列車(1225D)として運行しているのは知らなかった。観光列車としての運用がされているだけあって、外装内装ともにかっこいい。

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温かみのある素敵な車両だ!

景色の事はあまり覚えていないけれど、とにかくこの車両に乗っていることだけで気分が良かった。

人吉駅からは、観光列車としてのいさぶろう号に乗り換える。自由席は7席のみで、残りの指定席に乗るには別途指定券を買う必要があるとのこと。とりあえず時間があるので先に車内を見てみると、その自由席というのが、後ろの車両にあるごく普通のロングシートと、前の車両の最前列にある硬い木のシートのことで、指定席はさっきまで座っていたシートとほとんど変わらないものだった。7席のみという希少価値がある上に、普段乗ることのない木のシートに無料で乗られるということが分かったので、迷わず指定券を買わずに済ませた。ここまで乗車料金のみで乗ってきたシートに、わざわざ余計にお金を払うなんてばかばかしいと思った。

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これが自由席。
むしろこちらが指定席でもいいぐらいだと思う。

人吉駅から2つ目の駅である矢岳駅と人吉駅の間には400m以上の標高差があり、電車はこの間約25‰の勾配を登っていくという。この急勾配の為、途中に大畑駅というループ線内に造られたスイッチバック駅がある。観光駅のようになっていて、乗客の写真撮影等のために数分の停車時間がとられた。完全に蒸気機関車の都合で造られた駅であるため、乗り込んでくる人も降りる人もいないような場所だった。ワンマン列車だったので、スイッチバックの度に運転士が移動するのも面白かった。

次の矢岳駅を過ぎてから少しした地点には、日本最大車窓の一つに数えられる風景があった。上空は少し靄がかかっていて山々まではっきりと見ることはできなかったけれど、それでも良い眺めだった。

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姨捨に続いて2か所目の三大車窓。

隼人からの日豊本線では特に面白いことは無く、ぼんやりしていたら鹿児島中央駅に到着した。どこへ行くか全く決めていなかったので、とりあえず駅から少し歩いた所にある公園のベンチで、吉松で駅弁売りから買ったまま手を付けていなかったお弁当を食べ始めた。お弁当を食べながら、遠目に見える桜島をもっと近くで見てみたいと思ったので、フェリーに乗って桜島へ行くことにした。人生初の路面電車に乗って市街を移動し、桜島フェリーに乗り込んだ。
桜島フェリーは概ね15分おきに24時間運航しており、片道160円で乗ることができる。展望席に座って、桜島のだんだん大きくなっていくのを見ていると、後ろにいた男性が連れに、「上の部分が飛んでいなければ富士山と同じくらいはあっただろう」と言い出して、それはとんでもない形になりそうだと思った。近くで見るとやっぱり綺麗で、フェリーに乗ってよかったと思った。桜島港に到着して地図を見ると、周辺には何もなく、島内を見て回るにはバスなりタクシーなりでの移動が必要であることが分かったので、来たばかりではあるが、鹿児島港に戻ることにした。桜島を近くで見たいという理由でフェリーに乗っただけなので、島の探索をするつもりはなかったし、何よりも港の近くからは丘が邪魔で山が見えなくなっているのが、意図してバスやタクシーを使わざるを得ない状況にされたようで不満だった。ぃぢわるをするな。

いまいちどう走っていくのか分からない路面電車に再度乗り、ホテルにチェックインした。飲食店はもう面倒だったので、近くのスーパーでお惣菜とノンアルコールビールを買い、部屋で酒飲みの真似をしながら食べた。不味かった。

西日本横断7日目

3月7日の午前5時、船内に小倉港到着を知らせるアナウンスが流れた。僕はその時にはもう起きており、すぐにでも出発することはできたのだが、熊本まで行くのにこんなに早い時間に出る必要はなかったので、6時までの船内休憩の時間をいっぱいに使って、スマーホンの充電をしつつだらだらしていた。
6時に2度目のアナウンスが流れ、船内に残っていた人達がぞろぞろと降りて行った。人の流れが途絶えたところで、僕も降りた。

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小倉からはピンク色を付けた経路を通って熊本へ向かう。
オレンジ色を付けた方が最短経路だけれど、あまり面白くなさそうだったので遠回りすることにした。

大分までは6時43分発の日豊本線で一本だった。途中の国東半島の横を通るときには、面白い景色*1が見られるかと思っていたけれど、靄がかかっていて良く見えなかった。というか、元々靄がかかっていなくても車窓からじゃよくわからないのだと思う。
シートのせいなのか体調のせいなのか、この日豊本線を通っている時はずっとお尻が痛くて、どうしてお金と時間を使ってこんな思いをしているのか、という気にすらなりかけた。これも含めて旅行だとは思うけれど。

9時過ぎに大分に着いて、街に出てみた。9時過ぎではまだ開いていないお店も多く、散策をしていてもあまり面白くないし、何よりも眠くて仕方がない。次の熊本方面へ向かう豊肥本線は13時2分の出発だから、まだだいぶ時間がある。どうしようかと考えていると、24時間営業のネットカフェが目に入ってきた。朝割りで90分500円と書かれていたので、ここで一休みすることにした。フラット席を取り、面倒だったので漫画にもドリンクにも手を付けずに居眠りした。
1時間ほど眠るとだいぶすっきりしたので、近くにあったラーメン屋でお昼を食べた。隣に座っていた女性が餃子とチャーハンだけ注文しているのを見て、わかるなぁと思った。ラーメン屋のチャーハンと餃子は謎の美味しさがある。

豊肥本線に乗った時には体調は万全になっており、ネットカフェで休んだのは英断だったなと自分を褒めた。豊後竹田のあたりから、乾燥したような色合いの独特な山々が見られるようになってきて、何日かぶりに車窓風景を楽しめた。窓に着いているカーテンが簾のようになっていて、減光させつつも外が見えるようになっていたのも良かった。また、景色が良いと思ったのはやはり僕だけではなかったようで、前の席に座っていた女の子は、わざわざ立ち上がって反対側の窓から写真を撮っていた程だった。人がいる車内で立ち上がって写真を撮るのは勇気のいる事だと思うから、上手く撮れていると良いなと思った。駅舎も趣のある木造のものが多く、旅情を味わえる良い路線だった。
宮地駅の辺りからは、左手に阿蘇山を見ながら囲むようにして鉄路が敷かれているため、阿蘇山を約120度に渡って眺めることができた。山以外にも、風景全体の色合いが大好きなアースカラーで満ちていて、とても落ち着いた。

豊肥本線を堪能して、17時過ぎに熊本駅に到着した。

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ぶれた。

熊本市街は何となく住みやすそうな印象だった。夕食はとんかつを食べた。注文してから30分近く待たされたのが最高だった。味噌汁が赤味噌で、初めてだったので新鮮だった。

*1:航空写真で見ると結構不思議な姿をしている

西日本横断6日目

羽咋の家を出てから2日間、天候に恵まれてどこを歩くのも爽快だったのはよかったけれど、この時期の好天には花粉が付いて回る。鼻が詰まっているせいで睡眠時にうまく呼吸ができていないのか、起床時には喉が痛むことが多い。旅行6日目の朝は特にひどく、洗面所でうがいをしたら喉から血が出てきたほどだった。鼻の奥が切れていたのだと思う。寝るのが遅かったのもあって、頭もまだぼんやりしている。
この日も早い時間(6時1分)の電車に乗る予定だったけれど、少し考えてみたら、うどんを食べてフェリーに乗ることしか決まっていないのだから、こんなに早く起きる必要は無い気がしてきた。高松と松山市街の散策にしたって、そこを訪れるから行程に組み込んでみたというだけで、強く望んでいたわけではない。これらの事から、しばらくお風呂に浸かってのんびりしていようと思う。
丸型の浴槽の中に座り込んで暖まっていると、喉の調子が良くなってきた。将来マイホームを買うことがあったら、丸型の浴槽が欲しいと思った。朝からゆっくり入浴してすっきりしたので、そろそろ岡山を出発する。ホテルを出て空を見てみると、雲行きが怪しく、今にも雨が降り出しそうなどんよりとした天気だった。丁度連日好天に伴う花粉に悩まされ、北陸から南下するにつれて少しずつ蒸し暑く感じられてきていたところだったので、何て良い天気なのかと嬉しくなった。

岡山から高松まで、マリンライナーという快速列車で直通運行である。途中の瀬戸大橋線は、唯一の四国と本州を結ぶ鉄路で、僕にとっては、海の上を電車に乗って走る初めての経験だ。靄がかかっていて視界はあまり良くなかったけれど、海の上を電車が走っていくのは面白かった。
予めチェックしておいたうどん屋へ行くのに、高松駅から高松築港駅まで歩き、高松琴平電鉄ことでん)に乗って花園駅に向かった。切符がはさみ式で少し感動したのと、コンビニの自動ドアといい勝負をするのではないか(今考えると流石に大袈裟だけれど)と思ってしまうほど、各駅の停車時間が短かったのが印象的だった。
花園駅から少し歩いたところに、目当てのうどん屋さんを見つけた。中に入ると席はすべて埋まっており、並んで待っている人がいる盛況ぶりだった。注文の仕方に少し戸惑ったが、無事に釜バターうどんの注文を済ませ、しばらくしてから空いた席で食べることができた。美味しかったけれど、普通ので良かったと思った。何件か回ろうと思って小を注文したのだけれど、それでも朝なら十分な量だと思う。
ふらふら歩いていると、次のお店を見つけた。駅の近くの小さなお店で、空いていたのでここにしようと思った。変わり種を注文するのは避けて、冷ぶっかけを注文し、今回は心に余裕があったので、ちくわ天も付けてみた。3分もすると揚げたてのちくわ天の付いたうどんがでてきた。うどんは今までに経験したことのない強いコシがあって、こういうのが食べたかったんだと心の中で頷いた。コシがある=美味しいなのかは知らないが、とりあえずすごいコシなのだ。揚げたてのちくわ天も美味しい。

お店を出てふと、何もすることが無いことに気が付いた。何もすることが無いのは良いことなので、歩いていて見つけた広場のベンチでしばらくぼーっとして過ごした。やはり体調が良くないので、さっさと松山に行ってしまうことにした。

気怠いせいで車窓を見る気にはなれず、中途半端にうとうとしながら、随分長く感じた移動時間を過ごし、夕方ごろに松山に到着した。少しお腹が空いていたので、駅のすぐそばにあるカレー屋で、焼豚の乗ったカレーを食べた。提供時間も短いし、味もそれなりに美味しかったので満足だ。
暗くなるまで市街の公園でぼんやり過ごし、松山観光港で小倉行のフェリーに乗船した。フェリーは21時55分発で、小倉港に翌朝5時に到着する。宿としての利用ができて、簡単なものだけど浴場もあるから、これで4千円強(二等、学割)なのは助かる。
出港の1時間前から乗船ができたので早めに乗り込み、混む前に入浴を済ませて光の速さで寝た。