お散歩の火曜日

今学期も殆ど全ての科目で講義日程を終え、試験を残すのみとなった。全ての科目で試験を行うわけではないので、既に休日に変わった曜日もある。火曜日もその内の1つで、普段ならしぶしぶ大学に行って講義を受けたり、そうでない日は布団に包まって部屋の中で1日を過ごしているのだが、今日は外出する用事が無い。外出する用事が無いと、外出してもいいかな、という気になってくる。家に居ると試験勉強をしないといけない気分になりそうだから、近所にある公園に行って来ようと思う。

玄関を出ると、遠目に丹沢山系の霞む冬晴れだった。まだぎりぎり冬なのだから、ちゃんと寒くあってほしかったけれど、だいぶ暖かった。今日行った公園は自宅から徒歩30分程度*1の所にあって、園内に清流の流れる自然公園である。名前だけは知っていたものの、普段あまり行かない界隈にあってついぞ行ったことが無かったから、良い機会だと思って行ってみることにした。
公園までの道の半分辺りまで来たところで、しゃっくりが出始めた。喉の調子も良くなかったので、咳をしたかと思うと次の瞬間にはしゃっくりが出る忙しい具合だ。そのしゃっくりも普段とは様子が違って、毎回みっともない声が出る。「ウェッ、ウェッ」と割と大きな声を出しながら住宅街を通り過ぎると、台地の端まで来た。公園は段丘の棚を跨ぐように位置していて、小山を登り下りするような気分で散歩できるようになっている。木道などの整備がされている以外は手が付けられていないようで、落ち着いた静かな場所だった。
斜面を降りたところに水鳥が棲む浅い池があり、そこの畔でしばらくぼんやりしていた。6月には蛍が見られるというだけあって、中々水が綺麗で、静かに揺れる水面で反射した陽の光が、頭上にある木々の葉の裏に映り、涼し気な模様を作っていた。水鳥達が「ギァー、ギァー」と鳴くので、僕もしゃっくりで応えたかったけれど、その頃にはもう治まっていた。しばらくして一瞬強い風が吹いたかと思うと、水が濁り、向こうから蟲柱が、後ろの方からカメラマンがやってきたから退散した。

園内の水辺を一通り回った後は、少し前にGoogle Mapsで見つけた喫茶店に行くことにした。急ぐ必要は全くないので、公園までの道もそうしたように、初めに1度地図を確認した後は勘で歩いた。どこも知らない道だから、住宅街であってもつまらないことは無いし、つまらなくたって特に困ることは無い。
目当ての喫茶店に到着して中に入ると、マスターがカウンター席に座って寛いでいた。僕が入ってきたのを見るときびきび動き出して、氷を入れたグラスに、目の前でペットボトルから注いだお冷を持ってきてくれた。喫茶店は良いなぁと思った。ナポリタンを注文すると、30分くらいかかるがいいかと聞かれた。時間はいくらかかっても構わないけれど、一寸笑いそうになった。喫茶店のナポリタンというと茹で置き麺を使う(これが喫茶ナポの秘訣だとかなんとか)イメージだけれど、ここは茹でるところから始めるらしい。
本を読んだり、swarmにスポットを追加したりしていたら、ざっくり切られた野菜に、家にあるものと同じ味がするドレッシングがかかったサラダが運ばれてきた。喫茶店は良いなぁと思った。それからまたしばらくすると、「お待ちどおさま」の声と同時にナポリタンが運ばれてきた。

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非茹で置きだからか発色が良い気がする。

ベーコンが特徴的な味で、もしかするとハムだったかもしれない。2016年に入って8食目のナポリタンである。
食後のコーヒーを飲んでいると、マスターが愛想良く話しかけてきてくれた。話の内容は割愛するけれど、かなり楽しくお話ができて、気付いた時には1時間以上経っていた。お店を出るときには、「近くに来た時にはまた寄ってってよ」と言ってもらえて、帰り道に歩きながらニヤニヤした。のびのびとした気持ちになれた良い火曜日だった。

*1:自宅から徒歩30分までは近所である