北海道3日目

民宿のベッドは良い意味で特別感が無く、熟睡することができた——というか、しすぎた。二度寝をしてしまった…。幸い電車の時間には間に合ったので良かったものの、朝食に考えていたいくら丼は、セイコーマートのおにぎりに代えられた。余談にはなるけど、札幌でセイコーマートに出会って以来、視界に入ったセイコーマートにはとりあえず入ることにしていた。そこで気が付いたのは、HOT CHEFはどの店舗にもあるわけではないという事。勿論こんなことはWEB検索すればすぐにわかることで、道民ならほぼ全員が知っている事なんだろうけど、自分で歩いて知れたことが少し嬉しかった。

北海道旅行3日目の9月4日は、網走へ向かう路線で通過する釧路湿原の、車窓からの眺めを楽しみにしていた。釧路駅を出発してから、思ったよりも早く湿原に差し掛かって、本を読んでいたら半分ぐらい見逃した。「釧路」湿原なんだからそりゃ釧路駅から近いのは当然なんだけど…うっかりしていた。それでも慌てて外を見た時の景色は、小雨が降っていたおかげで空気はジメジメとし、川の水は茶色く濁っていて、とても良いものだった。湿原を過ぎた後も魅力的な景色は多く、前日に見た健康的な印象の煌びやかな草原とは異なる、人気の無い寂しげな草原(これも雨のせいなのかもしれないけど)を見た時には、ここに降りたら誰からも見捨てられたような気分に浸れそうだなと思った。
網走駅での1時間程度の待ち時間では、雨が降っていたので駅近くの売店で購入したお弁当をお昼に食べた。このお弁当に入っていたいくらが大粒で本当に美味しかった。今までいくらを特別美味しいと感じたことが無かったから驚いた。朝食のリベンジはここで無事果たすことができたと思う。

網走駅から札幌、東室蘭までは時間の都合でそれぞれ特急を利用した。網走—札幌間の移動中にはこの旅行の核心に迫る風景があった。留辺蘂から遠軽へ向かう山中にある、車一台も通れない、通る人がいるのかさえ分からないようなひっそりとした道に、心が共鳴するのを感じた。このような道を一人で歩きたいと強く思った。
遠軽で進行方向を変えて再発進してからは天気が回復し、空が恐ろしく大きく綺麗な雲を作り出していて、その光景に正直少し焦ったほどだった。遠くの山のように見える雲や、CGのような光の差し込む雲の層が現れる中、ほかの乗客が関心を薄そうにしていたのが信じられなかった。僕は反対側の席に座っていたので、わざわざ席を立ってドアのある通路まで行って写真を撮った。ずっと線路近くを石狩川が流れていたのも良かった。

札幌からスーパー北斗に乗って室蘭駅に到着した頃には21時を回っていて、ホテルへすぐに向かうだけだった。ホテルではクレジットカードでの決済に3分くらい時間がかかったのが面白かった。長いときだと10分近くかかることもあると言うから笑ってしまう。この日一日で軽くジムバッジ6つ分くらいの距離を移動したので、布団に入って間もなく意識は遠のいて、眠りに落ちた。

3日目終わり