西日本横断8日目

くまモンスクエアに行けなかったのが少々心残りではあるが、この日も朝早くから電車に乗った。八代までは霧がかかっていてまともに外が見えなかったものの、暗くて何も見えないのとは違って、霧で見えなくなっているということが見えるので、霧は好きである。
八代から肥薩線に乗り換えたが、その車両がいさぶろう・しんぺいで驚いた。人吉―吉松駅間で観光列車として運行しているのは事前に知っていたけれど、八代―人吉間を普通列車(1225D)として運行しているのは知らなかった。観光列車としての運用がされているだけあって、外装内装ともにかっこいい。

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温かみのある素敵な車両だ!

景色の事はあまり覚えていないけれど、とにかくこの車両に乗っていることだけで気分が良かった。

人吉駅からは、観光列車としてのいさぶろう号に乗り換える。自由席は7席のみで、残りの指定席に乗るには別途指定券を買う必要があるとのこと。とりあえず時間があるので先に車内を見てみると、その自由席というのが、後ろの車両にあるごく普通のロングシートと、前の車両の最前列にある硬い木のシートのことで、指定席はさっきまで座っていたシートとほとんど変わらないものだった。7席のみという希少価値がある上に、普段乗ることのない木のシートに無料で乗られるということが分かったので、迷わず指定券を買わずに済ませた。ここまで乗車料金のみで乗ってきたシートに、わざわざ余計にお金を払うなんてばかばかしいと思った。

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これが自由席。
むしろこちらが指定席でもいいぐらいだと思う。

人吉駅から2つ目の駅である矢岳駅と人吉駅の間には400m以上の標高差があり、電車はこの間約25‰の勾配を登っていくという。この急勾配の為、途中に大畑駅というループ線内に造られたスイッチバック駅がある。観光駅のようになっていて、乗客の写真撮影等のために数分の停車時間がとられた。完全に蒸気機関車の都合で造られた駅であるため、乗り込んでくる人も降りる人もいないような場所だった。ワンマン列車だったので、スイッチバックの度に運転士が移動するのも面白かった。

次の矢岳駅を過ぎてから少しした地点には、日本最大車窓の一つに数えられる風景があった。上空は少し靄がかかっていて山々まではっきりと見ることはできなかったけれど、それでも良い眺めだった。

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姨捨に続いて2か所目の三大車窓。

隼人からの日豊本線では特に面白いことは無く、ぼんやりしていたら鹿児島中央駅に到着した。どこへ行くか全く決めていなかったので、とりあえず駅から少し歩いた所にある公園のベンチで、吉松で駅弁売りから買ったまま手を付けていなかったお弁当を食べ始めた。お弁当を食べながら、遠目に見える桜島をもっと近くで見てみたいと思ったので、フェリーに乗って桜島へ行くことにした。人生初の路面電車に乗って市街を移動し、桜島フェリーに乗り込んだ。
桜島フェリーは概ね15分おきに24時間運航しており、片道160円で乗ることができる。展望席に座って、桜島のだんだん大きくなっていくのを見ていると、後ろにいた男性が連れに、「上の部分が飛んでいなければ富士山と同じくらいはあっただろう」と言い出して、それはとんでもない形になりそうだと思った。近くで見るとやっぱり綺麗で、フェリーに乗ってよかったと思った。桜島港に到着して地図を見ると、周辺には何もなく、島内を見て回るにはバスなりタクシーなりでの移動が必要であることが分かったので、来たばかりではあるが、鹿児島港に戻ることにした。桜島を近くで見たいという理由でフェリーに乗っただけなので、島の探索をするつもりはなかったし、何よりも港の近くからは丘が邪魔で山が見えなくなっているのが、意図してバスやタクシーを使わざるを得ない状況にされたようで不満だった。ぃぢわるをするな。

いまいちどう走っていくのか分からない路面電車に再度乗り、ホテルにチェックインした。飲食店はもう面倒だったので、近くのスーパーでお惣菜とノンアルコールビールを買い、部屋で酒飲みの真似をしながら食べた。不味かった。