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仙台・遠野1日目

行きの電車内、大宮から乗車した東北本線の、宇都宮に到着しようというところで、仙台での行程についてまだ何も決めていないことを思い出した。しかし、何も決めていないのは特に何もする気が無かったからで、焦るようなことではなかった。着いてから決めればいい。自宅最寄り駅から大宮までは、JRのみの利用という制約もあってか細かい乗り換えが続いて、その度に外の空気を吸っていたんだけど、この宇都宮駅のホーム(或いはその少し前あたり)から空気が変わった気がした。単に気温が低いというだけでなく、懐かしい冬の香りがする。関東平野の終わりに近いから、気候もこの辺りから変わってくるのかもしれないと思った。時間が流れ、鉄路を進むにつれて、車内の話声に訛りが混じってくるのも面白かった。
以前青森へ行ったときは、日本海沿いを通りたかったがために、上越線信越本線羽越本線と乗り継ぐ、最短経路よりも5時間長くかかる経路を選択したから、1時間以上の乗り換え待ちが何度かあった。それに対して、東北本線一本で向かう今回は乗り換えのほとんどが10分以内で、急いでいるわけでもないのにあっという間に仙台まで到着してしまう。信越本線から羽越本線への乗り換えを行う新津駅で、ホームのベンチに座ったまま2時間近く1度も立たずにぼーっと過ごした事を、良い印象と共に記憶している僕にとって、これは少し味気ない気がしないでもなかった。
どのあたりから積雪が見られるんだろうと窓から外を眺めていたけど、目立った雪は見られないまま、仙台駅に到着した。

この日は最寄り駅をほとんど始発で出発したので、仙台に到着した時刻は13時26分だった。ランチ営業のお店なら滑り込みで入る形になってしまうだろうから、到着する前に昼食の場所だけは電車内で決めた。駅を出た市街は、東北の街の中では建物、通行人の数共に明らかに別格で、一刻も早く食事を済ませて抜け出さなければならないと思った。
駅から少し歩いたところにある中華料理店に入り、ネットで見た麻婆焼きそばを注文した。それほど惹かれたわけではなかったけど、名物だと書かれていたから食べてみることにした。それなりに美味しかったけど、想像から逸脱することはなく、箸とレンゲを使い分けるのが少し面倒だった。会計の時の「1050円です」が、関東の「1000と10円です」のアクセントで発音されていて、一度聞き返してしまった。店員さんにとっては嫌な感じがしたかもしれないけど、こちらにとっては面白いやりとりだった。

昼食を食べたお店でマブダチに相談をすると、地底の森ミュージアムという施設が面白そうだと思ったので、地下鉄を利用して行ってみることにした。
施設の前まで来て人通りがほとんどないことに気がついた。この時まで全く考えていなかったけど、僕にとっては冬休み初日であったとはいえ、一般的にはもう年末であり、既に休館期間に入っているのかもしれない。公式サイトを確認してみると、残念ながらこの日は燻蒸作業で休館中であるとのことだった。
仙台駅に戻り、延々に似たような店が軒を連ねるアーケード街をぶらぶら歩いた。しかし、こんなことをしていても埒が明かない。時刻はまだ16時で、夕飯にしても宿に行くにしても早すぎる。そもそもこの日予約していた宿はカプセルホテルだから、寝るとき以外は中に居てもしょうがない。そうは言ったものの、したいことが無いなら何もしなければいいだけの話で、必要なのは落ち着く場所だけだった。結局、たまたま近くにあったメディアテークと呼ばれる図書館やギャラリーからなる複合施設に入り、ソファに腰掛けてしばらくぼーっとすることにした。

雨が降り出したかと思えば弱まったり、また強く降りだしたり、ガラス張りの外壁を通して外を眺めているうちに、時刻は18時を回った。カプセルにチェックインして荷物を預けてから、唯一事前に決めていた牛タンを食べに出掛けた。雨が降っていたからホテル近くのお店に入り、テールスープと麦飯が付いたセットを注文した。初めて食べる分厚い牛タンはわさび漬けで食べるスタイルで、大変美味しかった。良い意味でも悪い意味でもなく、焼肉屋で出る薄切りの牛タンとは別物だと思った。テールスープも魔法瓶に入れて携帯したくなるくらい美味しかった。

この日泊まったカプセルホテルには小さいながらも浴場があったので、ゆっくり浸かって体を温め、気分良く寝床に入ることができた。カプセルの入り口が長辺に面しているのも潜り込みやすくて良かった。

1日目終わり