2015-03-24

磁気コンパスが示す極どうしを結んでできる直線と、北極と南極を結んでできる直線(地球の自転軸)は少しずれていて、ある地点でコンパスが示す北方向(磁北)の、北極点方向(真北)からのずれを磁気偏角と呼んで、東西のどちらにずれているかで東偏・西偏~度と表したりする。
以前、羅針盤の方角と星の方角から偏角を求めることで、経度を測定しようとした(が失敗に終わった)話を本で読んだことがあった。羅針盤の針の誤差だとか、地磁気の影響で失敗したのだとぼんやりと書いてあるだけで、その時はいまいちすっきりしなかった。中学・高校の理科の教科書なんかに載っている、地球を棒磁石に見立てた図のイメージがあったから、地磁気の磁力線は綺麗な形をしていて、磁北極と磁南極と地理的北極の3点を含む円周上では、偏角は0になるんだろうな、とか当然のように思っていたんだけど、調べてみると間違っていることがわかった。
日本での磁気偏角は西偏3~9度とのデータがあった。ふんふん、とその時は思ったんだけど、磁北極と地理的北極の位置を地図上で確認すると、日本から見て磁北極は、地理的北極よりも東にあったから、先ほどの西偏3~9度というデータには首を6ひねり半ほどした。地球の棒磁石イメージに囚われていたせいで、無駄な図をたくさん書くことになった。そのあとで下にあるような等偏角線図という図の存在を知った。

http://wdc.kugi.kyoto-u.ac.jp/igrf/map/d-m.gif

北半球ぐにゃぐにゃだ!
しかもこの偏角、時間によっても常に変化していて、1600年ごろには日本の偏角は東偏で、1800年ごろに東西が入れ替わったらしい。日本付近の卵形の等偏角線はシベリアの磁気異常が原因であるとの事。ref.磁石の北と地磁気極と磁極
なるほど、ある地点でコンパスが示す北方向(磁北)は、磁北に従って移動を続けると到着する点(磁北極)でも、例の棒磁石イメージで言う所のN極(地磁気北極)でもなくて、シベリアだとかの地磁気の分布も含めた平衡点ということになるんだ。