西日本海岸線5日目

高い場所があると、とりあえず上ってみたくなる。ロープウェイの営業の始まらない早朝6時前に起きて、気持ちの良い朝の空気を吸いながら千光寺山を徒歩で上った。馬鹿と煙は高いところに上ると言うけれど、これは無暗に目立ちたがったり、煽てられてすぐに舞い上がる様子を喩えたものであるから、人の多い時間を避けて、穏やかな気持ちで高い場所へ上る僕は該当しないはず。上からの眺めはそれなりで、対岸の向島との間を流れる尾道水道が、普段では見かけないような景観を作り出していたのが印象的だった。ざっと日本地図を眺めてみても、瀬戸内海ほど島々が点在する場所は他に無く、独特な地域であることが分かる。

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猫をたくさん見かけた。
港が近いから餌になる魚が手に入りやすいのかもしれない。

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ぽ。

 

 6時33分発の電車に乗り、尾道からさらに西へ向かう。青春18きっぷは、厳島神社のある宮島と本州を結ぶ宮島フェリーの乗車券としての利用ができ、山陽本線の途中の宮島口駅に着いた時には、少しそのことを思い出して気になったのだけれど、お昼には門司港へ着くようにしようと決めていたし、有名な大鳥居は、近くまで行くと足元がびしょびしょになるという勝手なイメージがあったので、今回は素通りした。歳を取ってからもう一度来ようと思う。

朝食を食べていなかったために、山口まで来る頃にはお腹が空いていた。旅行中の朝食は、駅内の売店で簡単なものを買って食べたり、この日のように食べずに済ませてしまうことが多い。普段午前中にお腹が空くことは珍しいので、この時だけ実家の朝食が恋しくなる。

13時過ぎに門司港駅に到着した。以前お世話になったモクモクのバイト先のお兄さんから、門司港駅の駅舎がかっこいいのだという話を聞いたことがあり、それも少し楽しみにしていたのだけれど、生憎駅舎は2012年から改修工事が行われていて、今は見ることができなかった。
港へ向かうと、"レトロ"と称される歴史的な建物の街並みが現れる。オレンジタイルの洋館など、かつての貿易港の情緒が感じられる一方で、周りは近代のタワーやマンションなどに囲まれている上、非常に綺麗にされているので、逆にこちらの方が後から作られた作り物のように見えなくもなかった。自分も含め、周りを歩く人の格好が現代のものだったのもあるかもしれない。それからもう一つ、そもそもの要因として、映像の先入観がある。これは、この門司港の街並みが最も栄えていた時代を残した映像がモノクロであることから、その印象が頭に残ってしまい、色付きで眼前に広がる光景に、違和感を覚えてしまうというものだ。特にモノクロは、この門司港に限らず強烈な印象を残すように思う。モノクロ写真に残された時代であっても、実際には当然世界に色は付いていたはずなのに、それを受け入れられない。もはやモノクロであるという事そのものが過去を保証している印象すらある。

門司港の話に戻りまつ。簡単に街の見学を済ませてから、名物*1である焼カレーのお店で昼食を食べた。

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言ってしまうと美味しい"カレードリア"だった。
上にオニオンフライが乗っていたのが良かった。

店主が大変気さくな方で、今回の旅行の事や、お店の事などの話をしているうちに、隣の席の方にまで輪が広がり、すぐに3人で話すようになった。話しているうちに、その隣の方が福岡市から仕事で来ていることがわかったので、門司の後には福岡市に行く事と、夕飯のお店を探している事を伝えると、天神の屋台をおすすめされた。お酒は飲めなくても平気だと言われたので、夕飯はそこで食べることに決めた。

美味しい焼きカレーを食べた後は、例によってタワーに上ったり、駅近くの鉄道記念館を見学したりした。

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これはどうなんだ。

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展望台カフェにて、バナナ紅茶。
なかなか美味しかった。

ここのタワーもやはり、エレベーターに乗っている時間が楽しさのピークだった。できることならガラス張りのエレベーターに乗って、10分間くらいは上っていたいものだと思う。

夕方になってから、博多へ向かう鹿児島本線に乗車した。窓から見た陽が、薄い雲に覆われていたせいで、輪郭がぼやけて大きく見えた。僕はよく夢の中で、恐ろしい大きさの月や太陽を見るので、錯覚や絵でもそういったものが現実に見られると、見入ってしまう。

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福岡は都会だった。普段なら嫌気が差す都会だが、福岡の街は、地下街が広く整備されているおかげで、歩きやすくて良かった。チェックインを済ませてから、夕食を食べに天神へ出かけた。
屋台が軒を連ねる通りまで来て、目当てのお店を確認すると、ぴったり満席だった。屋台は初めてなので、並ぶものなのか勝手がわからず、とりあえず意味もなく通りを2往復した。よっぽど隣の空いているお店にしようかとも迷ったけれど、なんとか耐えた。お昼にお店をおすすめしてくれた方と、この先会うことは決してないだろうから、僕がどのお店に行ったところで知られる事も無いのだけれど、自分自身の中に後ろめたさを残したくなかった。
お店のそばに立って待ってしばらくすると、2席程空いたので、ちょうどその時にやって来たお兄さんと相席することにした。せっかく隣同士になったので、地元の方ですかと話し掛けてみると、生まれは福岡だけれど、小さい頃に引っ越してから、ずっと神奈川に住んでいると言う。こちらも神奈川から来たことを話すと、お互いに県→市→区と範囲を狭めながらの探り合いが始まり、結局最寄り駅まで同じである事がわかった。福岡まで来てご近所(?)さんに会うとは考えもしなかったので、お互いに驚き、親近感が湧いた。アイスブレイクが済んでからは、普段していることや、お仕事のことなど、楽しくお話をすることができた。居酒屋などに入る機会が少ないこともあって、焼き鳥の種類などが名前を見てもよくわからないのだけれど、この日はお兄さんの助けのおかげで思うように注文できたのも良かった。

お店の方は話しやすいし、どの料理もこっちの専門店で食べるよりもずっと美味しかった。ラーメンと焼き鳥2本(ヨツミ、ズリ)とソフトドリンクを頼んだ上、手羽先をサービス*2してもらって850円という価格もグッドだ。福岡では安直にラーメンだからといってラーメン屋に行ったり、焼き鳥だからと言って焼き鳥屋に行くものではないなと思った。屋台だよ屋台!

 

この日1日で普段の2週間分くらいの会話をしたと思うけれど、疲れたとは感じなかった。そのくらいどれも楽しい会話だった。旅行を通して自然に触れる機会は中々なかったけれど、代わりに人とたくさん触れ合った、今までにない旅行だった。こういう旅行もモイ。

*1:港の周辺だけで焼きカレーを出すお店が20店舗以上ある

*2:お昼に会った人におすすめされたと伝えたら喜ばれてサービスしてもらえた

西日本海岸線4日目

今回の旅行を計画しているときの懸念の一つに、自然成分が少なくなってしまうという事があった。福岡空港を終着点に設定した上で前回通った道を避けるとなると、道は限られてしまうし、その道も主に幹線沿いになるので、どうしてもそうなってしまう。その自然成分を補おうと、和歌山市内で一泊した翌朝は北西部に浮かぶ要塞島―友ヶ島に行くつもりだったのだが、昼頃から風が強くなるとの予報を受けて、船が全便欠航になった。鬼ヶ城に続いて、かなり楽しみにしていた場所だったので残念だった。
行かれないものは行かれないので、予定を早めて大阪をうろうろすることにした。早めたと言っても、3時間も4時間も居られるわけではない*1ので、簡単にたこ焼き調査をした。

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一軒目。テーブルに着いて食べられるお店だったので入ってみたら、自分で焼くタイプのお店でオヨ...となった。
ほとんど経験が無かったので、店員さんに教わりながら焼いた。途中から楽しくなってきて、ハプニングが良い方へ転んだと思った。尤も、居酒屋的つらさはあった。

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多分観光客に人気のお店。地元の人は行くのだろうか。
お持ち帰りと、カウンターでの立ち食いが選べる。大粒で食べごたえがあるし、何よりもソースと上に載っているネギが美味しすぎる。以前大阪出身の研究室の先輩が、「たこ焼きとか焼きそばは、ソースを食べる為のクラッカーみたいなものだと思ってる」と言っていたのを思い出し、その言葉の意味を悟った。ソースが美味しければモイ。

 

調査欲が満足したので、宿泊地の尾道へ向かった。途中の岡山で大手まんぢゅうを買って食べてみたかったけれど、乗り換えの時間が短くて買えなかった。車窓からの風景は、新幹線の中からよく見るような風景が続いていてあまり面白くなかった気がする。

夕方に尾道駅に到着し、予約したゲストハウスまで行くのに商店街を通ったのだが、そこの雰囲気が非常に良かった。余計な明かりがついていなくて薄暗く、人通りも多くないが、それでいて廃れているというわけではない。個人経営の小さなお店がたくさんあって、どれも心が惹かれた。港町だからお魚も新鮮なものが食べられるだろうし、町並みも良い。丁度良い場所にあると言うだけで何となく選んだだけだったのだけれど、とても良い町だった。
ゲストハウスは初めての利用だったが、宿の人は親切だし、古い民家(?)を利用した施設なので、居心地が良かった。お風呂もあったようだけれど、近くに日帰りの温泉施設があると聞いたので、お風呂はそちらで済ませた。那智日帰り温泉に続いて、ここでも貸し切り状態だったのでかなり気分がよかった。
入浴後は尾道ラーメンを食べるつもりでいたのだけれど、その時間にはもうほとんどのお店が閉まっていたので、宿の人に聞いて別のおすすめのお店を紹介してもらった。

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美味しかった......。
こういう素朴な中華そばも良い。

お店の周辺の通りも雰囲気があり、飲食店もたくさんあってモイ。

 

 

記事を書きながら振り返ってみると、4日目は食べてしかいなかった。まあいいや。

*1:友ヶ島への船の欠航がHPに記載されたのが始発便の出航時間を少し過ぎた頃だったので、最寄り駅までは行ってしまっていた

西日本海岸線3日目

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晴れたね。前夜はずっと雨音が聞こえていて、アプリでは予報どころかこの写真を撮影した時の現在の天気すら「大雨」になっていたのだけど......。
覚醒一番に窓から明るい光が入ってきているのに気付くと、良い一日になる予感がした。

紀伊勝浦駅7時25分発のバスに乗り、20分ほど坂道を上ると大門坂に到着した。

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門のようにそびえる夫婦杉。樹齢は800年だそう。

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前日の雨で石畳が湿っていてつるつる滑った。

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上手に撮れました。

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山の方も天気は良かった。

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大門坂を抜けた後の熊野那智大社への参道。
朝早かったおかげで売店はほとんど閉まっており、静かで気分が良かった。

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急に生活感があって面白い。

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結構高いところまで来た。

暫くすると那智大社に到着したが、不勉強なせいで寺社の面白さはわからない。不勉強でも建物の姿などに惹かれる人もいるかもしれないが、その感覚も持ち合わせていない。写真を撮ったりするのも不躾な気がして憚られたので、素通りして大滝へ向かった。

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滝までの参道も石畳。
歩いていて気持ちが良い。

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雨が降り出したのかと錯覚するほど飛沫が飛んでいた。
雨の降った翌日で、綺麗な良い滝だと売店の主人が言っていた。

伝書鳩を模しておみくじを掴ませた八咫烏の置物が売られていたのが、可愛らしくて欲しくなったけれど、荷物が増えるのは困るし、おみくじなら年始に川崎大師でありがたく「凶」を頂いている。ここで更新しても何だかズルをしたような気になりそうだし、最初に引いた方まで有耶無耶にさせてしまう気がしたので、やめることにした。おみくじに真剣なので。
那智では碁石などに使われる黒石が採れるというので、周辺の売店ではそれに肖った黒飴などが多く売られていた。試食したみかん団子が美味しかったのでお土産に一つ買った。
お土産を買った後は近くのバス停からバスに乗り、日帰り温泉へ向かった。上ってきたときに確認していたので、恙無く最寄りのバス停で下車し、開店とほぼ同時に到着した。露天風呂がとても気持ち良くて、お湯の布団を被るようにして暫く縁の浅い場所で横になってくつろいだ。2日ぶりのまともなお風呂ですっきりしてから、またお土産に蒲鉾の詰め合わせを買った。

 

18きっぷを利用する際には、その日最初の乗車時に入鋏印を押してもらう必要がある。この印は思い出の品としての面もあり、この日は是非那智駅で押してもらいたいと思っていたのだけれど、生憎那智駅無人駅であった。そのため、那智駅で電車に乗ってから、次の乗換駅の串本駅で入鋏印を押してもらった。
串本での乗り換え待ちの時間に、一時雨が強くなったものの、すぐに止み、それ以降雨が降ることは無かった。
紀伊半島の西側ではトンネルもそれほど多くなく、景色も良かった。

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キャプチャで画質は悪いし水滴も付いているけれど雰囲気は何となく伝わると思う。
電線が近くにあるのもかえって景色を引き立てているように感じる。岩礁が多くて見飽きることがなかった。

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雨上がりなので空気も綺麗。

あまり良い景色が続くので、見入って写真をあまり撮らなかった。たまに撮ってみても、感じたままには写らない。感じたままに写らないのは嬉しい。これはカメラの性能の問題ではなくて、五感で体験することによって、単純な視覚のみで景色を眺めるよりも美しく見えているということなのだと思う。

 

夜になって和歌山市に到着した。ホテルでチェックインをしようとすると、(当たり前だけれど)関西弁の気さくな主人が、予約していた部屋より良い部屋が空いているといって、そちらへ移動させてくれた。
荷物を置いてからはラーメンを食べに出掛けた。30代かそこらの店員の一人が、注文を取るところからお会計まで、終始不愛想に接客してくるから、かなり気分が悪かった。それでいてラーメンは結構美味しかったから、ますます気分が悪くなった。

西日本海岸線2日目

台風12号の接近のせいなのか知らないけれど、2日目頃から天気が崩れる予報だった。たまたま駅のホームで見つけた立ち食いうどん屋で、思い出したように名物の味噌うどんを食べてから、未だ晴天の名古屋を後にして、雨の降る方へ向かった。

名古屋から2日目に泊まる紀伊勝浦までは約6時間の道のりで、今までの旅行と比較すると、かなり控えめな移動距離と言える。移動距離が短いと体力的に楽になるかと言うと、実際はそうでもなく、伊勢神宮に寄る時間ができてしまったり、朝電車に乗る前に名古屋城を見学する時間ができてしまったりするので、気持ちの方が疲れてしまう。旅行こそ休みの度にしているものの、根は旧態依然として出不精だから、旅行中であっても、本当に行きたいと思う場所以外にはできるだけ行かないで済ませたい。移動距離が短い分、一日を通してのんびり行動することを心がけた。

車窓から見る四日市のコンビナートが、近代的とも未来的とも言い難い独特の雰囲気で魅力的だと思っているうちに、津駅に到着した。良い時間だったので、津ギョーザの食べられるお店で昼食にすることにした。

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8cm位はあったと思う。
津市では小学校の給食でこれが出るらしい。

ご飯のおかずと言う感じではなかったけれど、普通の餃子よりもタネが肉々しくて美味しかった。ご飯と餃子というと、2年生の時に受けていた中国語の先生が、中国では餃子は主食だから、日本に来て餃子をおかずに白ご飯を食べる日本人を見た時には驚いたという話をしていて、面白く思った覚えがある。確かに主食をおかずに主食を食べるのはかなり不思議に思えるけれど、考えてみれば麺類とご飯だって一緒に食べてしまうくらいだから、白ご飯を美味しく食べられれば日本食はそれで良いのかもしれない。

お店が駅から少し離れていたこともあって、丁度良い時間の電車を逃してしまい、気になっていた熊野の鬼ヶ城へ行く時間が無くなった。同時に1時間程の時間ができて、困ったと思ったけれど、すぐ近くに喫茶店があることが分かったので、とりあえずそこで時間をつぶすことにした。

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外装・内装共に良い雰囲気だった。

早く台風に来てほしいと思ってしまうほど、あまりに暑かったので、珍しく*1アイスコーヒーを注文した。ここで飲んだアイスコーヒーは後味に明らかに市販のものには無い美味しさがあって、アイスもいいという気になった。

2時過ぎの電車に乗り、多気駅で紀勢本線に乗り換えてからは紀伊山地の山間と海岸線を走った。夕方ごろには霧雨が降っていて、外を見るのが楽しくなってきた。山間部は晴れよりも小雨が降っているくらいが寂しい感じがして良い。ずっとこんな静かな天気が続けばいいと思い、旅行中の楽しい時間とはこういう部分だと再確認した。
山間を抜けた後の海岸線も地形が面白くて飽きなかった。トンネルが多いのも、同じ車両にいた、しきりに歩き回って外の風景を撮影していた落ち着きのない40代くらいの女性に、良い具合に水を差してくれていてよかった。

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動画しか撮っていなかったので、オヨ...な写真で我慢。

 

紀伊勝浦に到着した時には雨が止んでいたので、結局この日も折り畳み傘を使うことなく民宿まで辿り着き、三畳の独房の様な部屋に荷物を置いてから、近くの居酒屋で夕食を食べた。居酒屋とはいえ、お酒は苦手なのでソフトドリンクと海鮮丼を注文した。入る前は他の飲食店と変わらないと考えていたけれど、すぐ近くにワイワイやっているグループが2、3組いる中、一人食事をするのは中々心にクるものがあった。

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強い心で食べた海鮮丼。
色々乗っていてどうかと思ったけれど、全部美味しかった。

宿に戻り、お風呂に入ろうと思ってバスタオルを探してみたものの、それらしいものが無い。予約した時に確認していなかったのだけれど、格安なだけあってバスタオルは置いていないらしかった。那智大社方面へ向かう国道沿いに、朝10時からやっている日帰り温泉があるとわかったので、熊野古道那智大滝へ行く翌朝の予定の時間を早めてお昼頃に温泉に入ることに決め、この日はそのまま寝た。

*1:冷たいと香りを感じづらくて違いが判らないような気がするし、市販のボトルコーヒーが十分に美味しいこともあって、普段喫茶店ではあまり飲まないでいた

西日本海岸線1日目

9月1日の夜、毎度のことながら眠れない。前日まで毎日のように夜更かしを繰り返していたのだから、規則正しいともいえるけれど、翌朝、というか数時間後には早起きをしないといけないから困る。
何とか2時間ほど睡眠をとることに成功し、オヨ...となりながら最寄り駅に到着した。始発の時間には窓口に駅員がいないので、相模線の終点茅ヶ崎駅で入鋏印を押してもらった。茅ヶ崎駅東海道線に乗り換え、西へ向かう。
8時頃に到着した沼津駅で一旦下車し、以前チェックした喫茶店で朝食にすることにした。何も考えていなかったけれど、8時はまだモーニングの時間で、メニューがモーニングセットしかなかった。主食としてパンを受け入れることはできないので、おにぎりのセットを注文し、棚から炒飯おにぎり*1を選んでコーヒーと一緒に食べた。眠かったので味はよく覚えていない。

東海道線は熱海までしか乗ったことが無かったので、車窓から富士山を見たのは初めてだった。存在感はあったけれど、冠雪がないせいで美しさが損なわれている気がした。
東海道線の車両は、豊橋からの新快速を除くとほとんどがロングシートで、景色が見づらく、座り心地もあまり良くないけれど、そもそも電車に乗って移動しているだけなのだから、楽しくなくたって嫌な気持ちにはならない。寝ぼけて関係の無い駅で降りてしまったり、のんびりしすぎて電車を逃したりしつつ、13時に名古屋に到着した。
自然が好きで、どちらかと言えば街はあまり好きではない僕が、1日目の宿泊地に名古屋を選んだのは、全国的に見ても喫茶店が非常に多く、鉄板ナポリタンというご当地ナポがある都市だからだ。日本ナポリタン学会ナポリタンマップを参考に、事前に調べた数店舗をお腹が許す限り調査することに決めていた。

 

一軒目

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いきなりレベルが高すぎる。ソースの味と麺の硬さが完璧に近い。
卵はゆるい状態で提供され、顔を近づけるとふわっと卵の香りがしてくる具合。
ケチャップソースと相俟って、口の中ではオムライスの様な味にも感じられる。
ウインナーが燻製気味なのが唯一好みではなかった。

店内は明るくて、小さなレストランのようだった。居心地が良いとは言えないけれど、美味しい料理が出るのだから問題にはならない。あまり居心地が良すぎて回転率が悪くなるのもお店としては面倒だと思う。

 

二軒目

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盛り付けが大変モイ。麺は中太で柔らかめ。
ソースはデミグラスソースが強くてナポリタンらしくはないけれど、これはこれで美味しいと思う。玉葱がスライスするように切られていて、食感に歯ごたえがあって面白かった。

ご主人と色々お話をした後で、テレビ塔へ向かった。お腹がいっぱいでもう飲食店には入りたくないし、人がたくさん集まるような施設に行くのも嫌だ。こんな風にしたいことが無くなったときに塔へ昇るのは僕の常套手段である。
エレベーターはガラス張りで、昇る最中にタワーの骨組みを見るのが楽しかった。タワーは昇っている最中が一番楽しいので、展望室についてからはやっぱりすることが無くなって、なぜかたくさん置いてあった水槽を眺めていた。

暫くしてお腹が落ち着いたので、ホテルに向かうことにした。安いビジネスホテルだったので、部屋にバス・トイレが付いておらず、ドライヤーもなかった。簡単にシャワーで済まし、疲れていたのでこの日はそのまま寝た。

*1:コンビニおにぎりの中では一番好き

たたたたたたたたたた

旅行準備

・経路の決定

今回はよそうかとも思ったけれど、よしたところで何か他にしたいことがあるわけでもないし、しなければならないことはあるけれど、今でなくても構わないものなので、やっぱり今回のお休みにも旅行をすることにした。それに、こんな風に恒例行事を作っておけば、1年の楽しみが保証される(気がする)のだ。

今回の経路がこれ!

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東北には冬に行って寒い思いをしたいので、西か北海道で悩んで西にした。西日本方面には春休みにも行ったけれど、その時とは経路がほとんど違うので新鮮な気持ちで楽しめるはずだと思った。

 

・折り畳み傘

日頃の行いが良いせいか、今まで旅行中に雨に濡れたことはほとんどない。今回もきっとそうなるとは思うけれど、台風が来ているというから、念のために新しく折り畳み傘を買っておくことにした。
お店は前回傘を買った時と同じ、自由が丘にあるお店だ。2回目なのでそれほど時間はかけず、パパッと気に入ったものを見つけて購入した。

www.water-front.co.jp

トーキヨにお住まいの方は是非。

 

傘を買った後も前回と同様、喫茶店でお昼にした。

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普段好んで食べる太麺の柔らかい麺とは真逆に近い。
具材の種類と切り方、そしてソースの味が大変モイ。麺とも良く絡んでいて、喫茶店でしか食べられないナポという感じ。

 

オヨ......何だこの記事。

モクモク............

お香を買った

良い香りがするというだけで、その場所を好きになったり、その人の事が気になったりすることがあると思う。普段生活をしている部屋がそんな空間になったら、毎日を楽しく過ごせそうだと思ったので、お香を買ってみることにした。
amazon(通販サイトの事である)でお香を探すと、香り・形状共に多くの種類が見られる。見ているだけでも中々楽しかったが、そもそも香炉を持っていない事に途中で気が付いたので、まずは香炉から探すことにした。綺麗なものから修飾の凝ったものまで、どれも魅力的に見えたが、今回も目覚まし時計の時と同様に、単体で楽しめるものを選んだ。インテリア的に映えるようなものは、将来一人暮らしを始めた時に良いものを新調しようと考えている。 

倒流香(流川香)*1専用の香炉で、色々な形のものがあった。このブランドではAからDの4種類があって、それぞれ甲乙付け難かったのだが、スティックタイプのものも使えて、それなりに形も面白いという理由でBを選んだ。

煙が下に流れる特性のせいで、香りがあまり広がらないのではないかと多少懸念してはいたものの、実際に使ってみると1つでもそれなりに香りが広がった。焚いているときの香りを楽しむのも勿論いいし、しばらくして、別の部屋から戻った時にふっと香る独特の香りを感じるのもまたいい。煙の下へ流れる様子は、初めこそ物珍しさもあって楽しかったものの、3回も見れば慣れてしまって、やはり煙は上へ昇るのを見るのが面白いという気になった。

 

楽しむための準備

上で書いたように、普段生活をしている部屋で楽しむ事を考えたり、身の回りにあるもので楽しむ事を考えるのは、自身の楽しむ力を養おうとする僕のテーマによるものだ。
「これさえあれば楽しく過ごせる!」と思えるような具体的な趣味などがあるのは一見すると好ましそうに思えるが、お金や時間の余裕がなくなって、思うように取り組めなくなったときに、反動で落ち込んでしまいそうだという不安がある。できるだけ、自分の手の常に届くもの以外には頼りすぎず、身近なもので楽しめるようにすることで、どんな場所、どんな時でも楽しめるようにする、というのがこのテーマの趣旨だ。
具体的に、通学・通勤時の心持について挙げれば、ただ目的地に到着する事だけを考えながらぼんやり歩いているのと、道中で見られるような街路樹や草花について、少しでも勉強した状態で歩くのとでは、楽しさが全然違う。多くの人が見過ごしている場面や、鬱屈するような場面で楽しめるようになったら、無敵さんだと思う。

*1:煙が下に流れていく中国のお香